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戦時と平時で上下が変わるフィリピン国旗

フィリピンの国会はイスラム勢力との和合を図ろうと、国旗の太陽の光線をもう一束増やして9つにすることが決めていますが、実施に至ってはいません。このまま立ち消えになりそうな雰囲気です。

というのは、2011年8月4日、フィリピンのアキノ大統領と同国南部ミンダナオ島で自治権を求め武装闘争を続ける反政府組織「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」のムラド議長と、極秘会談したのです。日本がその仲介をしました。会談は成田国際空港近くのホテルで行われました。二人ははMILFとの和平交渉について、2016年2月までのアキノ大統領の任期中に和平合意に達し、実行に移すことを確認し、また、MILFが独立や分離を求めていないことを確認したということです。日本は、英国やサウジアラビアなどとともに、09年11月から和平交渉のオブザーバー役を務める国際交渉団のメンバーになっており、安全上の理由から日本での会談となったのでした。

このように事態が動いていることもあり、今のところ、国旗変更は実施されていないのでしょう。

ところで、フィリピンの国旗の白は平等と友愛を、青は平和、真実と正義を、赤は勇気と愛国心を象徴し、黄色い太陽は自由を表徴しています。3つの星はこの国の主要な島であるルソン、ミンダナオ島、ビサヤ諸島を表しています。太陽から8本の光が出ていますが、これはフィリピン独立革命の際、最初に武器を取ったルソン島所在の8州を表しているものです。


フィリピンの国旗(平時)

フィリピンの国旗(戦時)

2009年9月27日、フィリピン議会は、1521年、スペインの探検家マゼランの一行が来島して以来、いかなる場合にも屈服しなかったムスリムの人たちに敬意を表し、光の数を1本増やして9本とする決議を採択したのですが、デザインはまだ改定されていません。南部のムスリムへの宥和策の1つとしての動きだったのでしょうか。

ところで、このフィリピンの国旗は戦時になると勇気を表わす赤が上に来るように掲揚します。国旗法でそのように決めています。南シナ海で海軍の増強に努めている中国と、まさか国旗の赤を上にして戦火を交えるようなことはないでしょうね。

2016年1月、天皇皇后両陛下はこの国を慰霊訪問なさいました。先の大戦で、フィリピン人は100万人を超す人々が亡くなり、日本軍も50万人もの戦死、戦病死者を出しました。

ご訪問先では日比両国の国旗が立てられ、今日の友好、協力関係の発展を象徴していましたが、私はフィリピンの国旗が逆さまに掲揚されてはいまいかと、はらはらしながらテレビ画面でまず国旗を注視していました。さすがに、今回はなんら間違いがなく、安心して、画面に向かって合掌しました。

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