デンマークといえばアンデルセンの童話と人魚の像でしょうか。古くから日本ではおなじみです。そのデンマークを構成する面積最大の領域がグリーンランドです。世界最大の島でもあります。
政治的に深刻な争いや内戦を伴わずにこれから独立しそうな地域として、最近、話題になったのが、世界最大の島グリーンランド(デンマーク領)。メルカトール図法の世界地図を見慣れている私たちにはオーストラリアよりも大きな面積のように錯覚しがちですが、実際はその約29㌫の面積です。
デンマークの公用旗。
北欧各国でも同様の燕尾形にする。
グリーンランドの旗
英語やデンマーク語では「緑の島」ですが、グリーンランド語では Kalaallit Nunaat「人の島」。本来は、緑もないし、人もいない島だったのです。大部分が北極圏に属し、全島の約80㌫以上は氷床と万年雪。氷の厚さが3千㍍以上に達する所もあるとか。人が住むのは南西の沿岸だけで、それでもいまでは人口が5万6千人ほどです。
旗は、真っ赤に描かれた太陽。1979年5月に高度な自治政府が発足し、その6年後のコンペで、一面、氷で覆われた大地から昇る朝日を象徴するデザインが選定されました。
2008年11月、より広範な自治拡大を問う住民投票が実施され、賛成75.54%、反対23.57%(投票率は71.96%)でした。エノクセン首相は「遠くない将来に完全独立が実現することを望む」と語りました。
この結果、09年6月21日から公用語はグリーンランド語となり、警察、司法、沿岸警備などの権限を中央政府から移譲されました。また、これまでデンマーク本国と2分していた地下資源(中東に匹敵する原油埋蔵量?)からの歳入について、7500万デンマーク・クローネ(約11億円)までを自治政府の取り分として、これを超える分を本国と折半するということになったのです。
グリーンランドの旗は地元の言葉で「エルファラソープト(われわれの旗)」と呼ばれ、氷の大地からのぼる朝日(あるいは落日)を表しているのです。赤は太陽、白は氷山や氷塊を表しているものです。赤と白はデンマークの国旗に使われる色に由来すると説明されています。公募により1995年、地元のデザイナーであるトゥエ・クリスチャンセン氏の案が採用されました。
現実には、自然条件の厳しさから採掘は至難と言われています。ただ、これが、地球の温暖化や石油価格の動向によって、さらに条件が緩和されれば、文字通り「緑の島」になり、「人の島」となり、経済的には特段に注目される国になるでしょう。地球の温暖化が進む中でその資源とともに国際社会からの注目度が上がっています。