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英国旗は3地域の合併で国旗も合体

激動の日々が続いています。実は、国旗はこうした国際情勢や各国の政治の動きに従って変ってきたのです。

主要国の国旗の変遷について見てみましょう。

まずは、大英帝国として近世最大の主役だったイギリス。現在のイギリスはイングランドとスコットランド、そして北アイルランドの連合王国です。正式な国名はUnited Kingdom of Great Britain & Northern Irelandで、国連総会の座席もアルファベット順でUnited States of Americaの1つ前、今度のオリンピックでもそうなると思います。

2015年9月、スコットランドの分離独立を問う住民投票で世界の耳目を集めました。また、サッカーではそれぞれがここにFIFA(国際サッカー連盟)に加盟しています。ベッカムはイギリスの名選手だったのではなく、イングランドの選手ということになります。  

ではここで、英国を構成する3つの地域を、私たちが親しんできた歌で少し思い出してみてください。

イングランドの音といえば、あの「ドミレソ、ドレミド…」のチャイムの音。ロンドンのウェストミンスターの鐘が原曲です。授業の終わりが待ち遠しくてならなかった時代を思い出します。

「ロンドン橋」、「ハンプティ・ダンプティ」、「きらきら星」などマザーグースの童謡で親しまれている曲はイングランドから世界に普及しました。そして、エリザベス1世の時代、16世紀末頃から歌われていた古い民謡「グリーンスリーブス」、1823年初演のオペラ『ミラノの乙女』の中で歌われた歌曲からの「埴生の宿」です。そして、トーマス・H・ベイリーが作曲、ジャック・D・メロ作詞した「ロング・ロング・アゴー」は広く日本人に親しまれてきました。大正時代には近藤朔風の訳詞「久しき昔」(語れ愛でし真心…)そして戦後世代には古関吉雄作詞の「思い出」(垣に赤い花さく いつかのあの家…)の歌詞でです。もっとも、この歌詞は、アクセントのこともあり、柿の木に赤い花が咲くという誤解も生んだようで、その後、伊藤武雄の作詞で、今では「よく訪ねてくれたね よくまあ ねえ君…」の歌詞で子供たちに歌われているようです。

さらに、「スカボロフェア」。1966年にサイモンとガーファンクルがリリースしたバージョンで一躍有名になりましたが、もとはといえば、中世以来、ヨークシャーの重要な交易拠点スカバラで収穫物を持ち寄り晩夏から初秋にかけて行われるを歌ったものです。

スコットランド民謡では「蛍の光」、「故郷の空」「アニーローリー」、「ロッホ・ローモンド」などが特に有名ですね。「蛍の光」は稲垣の作詞で、1881年(明治14年)に小學唱歌集初編に載せられた日本政府公認の最初の外国のメロディとなりました。日本と同じ5音階であることもあり、たちまちにして広がり、韓国やモルジブでは亡命政権の“国歌”になったり、旧国歌になりました。韓国では独立回復後、そのメロディについていた歌詞をそのまま使って、が新しい曲にし、国歌にしました。安は戦前、東京に留学したチェリストで作曲家。近年、いわゆる親日派として糾弾されていますので、反日の無用な騒ぎになると、この歌の運命も怪しくなるのではと心配していますが、メロディの美しさから言ったら世界の国歌中、屈指のものと思います。

北アイルランドの民謡では「ロンドンデリーの歌」がこれまた世界中に知られています。今では「ダニーボーイ」の歌詞のほうがポピュラーかもしれませんが、本来は北アイルランドのロンドンデリーの町が発祥の地で、この地方では国歌のように扱われているそうです。(詳細は、拙著『歌い継ぎたい日本の心 愛唱歌とってきの話』海竜社)

イギリスを構成する主要な各要素がそれぞれに伝統に根差した個性的で素晴らしい文化を受け継いできていること、「ユニオン・ジャック」はそれを集約した、世界で最も人気の高い国旗なのですが、今これが大きく揺れ動いているのです。

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