オリンピックまでに国旗に親しもう
国旗についてのお話
STORY

赤旗はフランス革命から

私は共産主義も社会主義も少なくとも日本で採用するのは不適当だと思いますが、それはともかく、赤旗については少々触れておきたいのです。わが国の政党では日本共産党と公明党の事務局は実にしっかりしているといつも感心しています。残念ながら、自民党と民主党の事務局は欧米の諸政党と比較すればあまりに機能が貧弱です。

1964年の東京オリンピックの前年、卒論(「各国国旗の法制化に鑑みたわが国国旗の法制化に関する一考察」)執筆を準備していた私は、一学生として日本共産党に赤旗の歴史について往復はがきで問い合わせました。「昭和38年12月9日」の消印があるのです。日本共産党中央委員会資料室に即刻、返事をくださいました。

「広辞苑」で「赤旗」を見ると、単なる「赤色の旗」とあり、続いて、「革命派の旗。共産党や労働者が掲げる旗」、「危険信号の旗」とあり、他には「競技などで、失敗・無効を示す旗」とあります。サッカーの「レッドカード」でおなじみです。ほかに、「平氏の旗」(源氏の白旗に対する)ともあります。しかし、日本で「赤旗」といえば日本共産党中央機関紙の題字です。1928年2月1日に創刊されたこの新聞、発刊当初は「赤旗(せっき)」でしたが、その後、「AKAHATA」や「赤旗(あかはた)」などを経て97年から「しんぶん赤旗」とやや、やわらかい表示にしています。中国共産党の党紙は「红旗」。中国国産自動車のブランド名にも「红旗」があります。

日本共産党では毎年1月に「旗開き」という行事を行ないますが、この行事は共産党に限らず、「労働組合などで、一年間の闘争を始めるにあたって年始に開く懇親会」(『大辞林』)というくらいに、これまた一部では軟弱な行事になっているようです。

このはがきにあるように、赤旗は、フランス大革命期には戒厳令施行を知らせる旗印でした。それが、特に1848年の「2月革命」以降は、政治的には革命あるいは革命思想である社会主義や共産主義を象徴する旗でした。特に農民を表わす鍬と労働者の象徴であるハンマー(鎚)、赤や黄色の星、黄色で縁取られた赤い星などと組み合わせて、国旗や国章に使用されることが多くなっています。

日本共産党の党章にも農民を表わす稲穂と労働者の象徴である歯車が描かれています。しかし、1791年、革命派中、ラファイエット将軍が急進派を弾圧した「シャン・ド・マルスの虐殺事件」を契機に、逆に、これに抗議する旗印として、赤旗を革命旗に採用したと伝えられています。

1848年の「2月革命」では詩人で政治家のラマルチーヌはこの時、大きく盛り上がった共産主義へと向かう運動を抑え、「赤旗はシャン・ド・マルス広場を一周したにすぎないが、三色旗は世界をめぐった」との明言を吐き、以後、フランスでは赤旗が政治の中心を制しそうになったことはありません。しかし、赤旗は革命を象徴する旗とされ、フランス革命の階級闘争的側面を引き継ぐことを自称する社会主義や共産主義団体、特に、ソ連を始めとする社会主義国家が国旗や共産党旗・党章に採用しているのです。また、白・黒・黄色など肌の色と関わらず、全人類には同じ赤い血が流れているということから連帯の象徴ともされてきました。


1848年2月革命時のパリ。バリケード戦の様子を描いた絵画。

国旗としての赤旗は、1921年のソ連国旗が最初。現在でも、中国、ベトナム両国旗、そしてアルバニアは12年の独立以来、赤地に黒で「双頭の鷲」)国旗のベースになっている。

日本共産党は各国の共産党とは違うといいまが、同じような党旗・党章で共産主義社会の実現を目指していると言えば、私には違いが理解しがたいのです。もし、各国の共産党と違うなら、党名を変え、党旗・党章をユニークなものにしてはどうでしょうか。

日本共産党とは多くの点で意見を決定的に異にするが、評価できることもいくつかあります。例えば、政党助成金を受領せず、党員が実収入の1%を党に納めていること。また、綱領で「市民」ではなく「国民」と表現していることなどです。北方領土問題についても、全千島は戦争と関わりなく1875年の「樺太千島交換条約」で日本の領土としたのだから、最北端の占守(しゅむしゅ)島(とう)までが日本の領土であるという主張などです。確かに、昔は「蛍の光」の4番の歌詞は「千島の奥も沖縄も 八洲のうちの守りなり」となっていました。

但し、これは1951年のサンフランシスコ平和条約で日本が千島を放棄している以上、あらためてサンフランシスコで講和会議を開いて論議するほかなく、現実的にはありえない超理想主義に過ぎないことも付記する必要がありましょう。

私は先輩や仲間とともに73年以来、日ソ(露)専門家会議などソ連・ロシアと計44回にわたり率直な討議を重ねてきましたが、そうした場では「かつては物心両面でソ連が支援してきたであろう日本共産党は全千島の返還を言う。それを私たちは”4島返還”にまで妥協している。そこをしかと理解すべきだ」と繰り返してきました。この発言にはロシア側も40余年来、十分な反論ができないで来ています。

日本共産党がぜひ、健全な国民政党になり、かつての友党が独裁的に支配してきた国への説得にあたってくれることを期待します。