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赤十字は自分の標章の管理を怠っている

赤十字の標章のが「嫌いな」「あるいは受け入れがたい」イスラムの34ヵ国ではRed Crossと言わずに、Red Crescent、フランス語でCroissant Rouge 「赤新月」という名前で、赤十字と同じ活動をしています。オスマントルコが赤十字運動に加わるに際し、キリスト教のイメージの強いCrossでは困るというので、トルコ国旗の色を逆にしたような標章と社名になったのです。

2016年1月現在、国際赤十字を構成する190ヵ国中、155カ国が赤十字を、34カ国が赤新月を標章にしています。レッド・クリスタルはイスラエルのみ。国連加盟国で今や赤十字に入っていないのはブータン、マーシャル、ナウル、オマーン、エリトリアの5カ国のみとなりました。

赤十字の表彰は日赤と自衛隊衛生部隊の専用です。日本国内においては、「赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律」によって、第1条に規定された赤十字、赤新月、赤のライオン及び太陽(1979年のホメイニ師らによるイラン革命までの同国の標章)の標章及び名称の使用は、日本赤十字社(第2条)及びその許可を受けた者(第3条)のみに制限されており、みだりに使用した場合は懲役または罰金刑に処される(第4条)、とあります。

なお、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第157条第2項では、武力攻撃事態等においては、指定行政機関の長又は都道府県知事が、医療機関や医療関係者に赤十字標章等を使用させることができるとされています。

ここで大きな問題となるのは、一般の病院、動物病院、薬局・薬店、地図・案内図、テレビ番組、広告などでの誤った使用が後を絶たないことです。日赤では誤用しないように呼び掛けているとはいえ、早く言えばその呼びかけはおざなりというほかないのです赤十字の標章の誤用ないし悪用は街中、どこでも見られるという国はそうはありません。それが、わが国ではほとんど無神経に使用されているのが現実なのです。

最大手の広告代理店・電通は2007年、赤十字のマーク(標章)を使っているこのイラストの入ったチラシを大量に配ったのですが、法律に抵触することを知り、すべて回収されました。これはさすが「天下の電通」、誤りはいけませんが、それに気付いて即応したのは立派です。世間には、勝手に赤十字のマークを使っている薬局、医院、ペットクリニックなどが、「ゴマン」とあるからです。

私は4半世紀ほど前に、この関係の論文を日赤中央女史短大の「紀要」に執筆したことがありますが、日本での濫用はまったく改善されていません。私は例の「安全第一」の緑十字のマークも条約の精神から言えば芳しくないと考えます。少なくとも、暗いところで見たり、モノクロの写真や視覚障碍者(色弱者)には赤十字と区別ができないからです。

また、赤十字のマークはスイス国旗の逆なので本来、「白地赤十字」でなくてはならないのです。なんらかの都合でそれができない場合には、「白で縁取られた赤十字」でなくてはならないのですが、このことも日赤本社の正門や各日赤病院をはじめ、日赤の各施設でさえもきちんと守られていないのは、遺憾です。「紺屋の白袴」というべきか、これでは指導監督力も不十分になるというものでしょう。

重要なことは、、日赤自体がもっと標章の管理に責任を持ち、使用に関する広報に努め、場合によっては個別に警告ないし申し入れをすべきだということです。オリンピックの標章(エンブレム)はIOCや各国のオリンピック委員会などがはるかに厳しく管理しています。オリンピックについての本を書いても、表紙や裏表紙に五輪のマークを描いてはいけないのです。


西南戦争の時の「博愛社」による救護活動。

要は、国際赤十字はさらに標章の統一に努力すべきであり、また、日赤は自らの標章の管理をしっかりやることに努めるべきです。一般の医療施設や、はては動物病院まで赤十字の標章を掲げている現状は、早急に是正しなくてはなりません。
それに加えて、中には赤十字のマークのもとになった、赤字に白十字のスイス国旗を薬局や薬店につけているところまであります。写メしてあるスイス人記者の感想を聞いたら、「スイスの宣伝をしてくれてありがとう(笑)」

とのメールがきました。

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